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奥深 OKUJIN

OKUJIN

まち歩き

地域の交流拠点「ブランチ調布」の軌跡とは?
功労者の先輩方にお話を聞きながら街を散策!

東京都のほぼ中心に位置する三鷹市と調布市。両市の真ん中に位置するのが地域の多世代交流の拠点となる、ぬくもりのある複合施設「ブランチ調布」。 ブランチ調布が誕生するまで、隣接するクリーンプラザふじみが建設されるまでの間、住みやすい環境づくりに勤めてきた「ふじみ地区自治会等連合会」のお二人にこれまでの経緯を伺いながら街を巡ってみました。

ブランチ調布は地域住民の願い

「人がつながり、まちにひろがる〜3つの調べ(協調・調和・歩調)〜」をコンセプトに、地域の多世代交流の拠点を目指して運営されている複合施設「ブランチ調布」。 現在は地域住民の憩いの場として利用されていますが、その背景には隣接するゴミ処理施設「クリーンプラザふじみ」の建設における、地域住民の反対運動が大きく関わっているそうです。

クリーンセンターの移転後、長きにわたって自治会を束ね、街の人の意見を吸い取り、両市(三鷹市・調布市)に要望を伝えていた「ふじみ地区自治会等連合会」。今回は中核となるお二人にお話を伺いました。

「ふじみ地区自治会等連合会」事務局長を務める増田雅則さん。地域の抱える課題解決に向けて、日々活動を続けています

――ブランチ調布の誕生までにはさまざまな背景があったと思います。まずは「ふじみ地区自治会等連合会」について教えてください。

増田雅則さん(以下、増田):ふじみ地区自治会等連合会は、平成17年に発足しましたが、調布市と三鷹市がこの地域に建設を進めてきたごみ焼却場の建設計画を容認する一方で、隣接する調布市クリーンセンターについては、ごみの一極集中を避けるため他所に移設し、跡地には近隣住民のための施設を建設することを提案しました。

その後調布市の同意を得、跡地には現在のブランチ調布が建設されることになりました。

――ゴミ焼却施設の建設には、増田さんをはじめ、地域住民の方々は反対の立場だったのでしょうか。

増田:はい。地域住民の方々と共に「絶対反対の会」を結成して反対をしておりましたが、連合会発足の少し前から地域住民が安全・安心を担保できる設備建設を条件に方針を転換し、地域の特性を生かしたまちづくりを行う方針に変更しました。

「ふじみ地区自治会等連合会」二代目会長を務める佐々木善信さん。環境、安全、福祉、地域交流をテーマに社会貢献に尽力してきました

佐々木善信さん(以下、佐々木):我々はゴミ処理負担の分散を訴えました。くわえて、クリーンセンターを移設した跡地には「地域密着施設をつくってほしい」という要望を伝えました。その施設こそ、ブランチ調布なんです。

――なるほど。焼却施設設置後の跡地活用として、地域密着施設の建設を要望したわけですね。

増田:はい。市民サービスの充実、地域コミュニティの発展、地域要望を踏まえた施設整備など、地域住民と検討した結果、その提案を市に提出しました。そして、行政と住民が意見を出し合い、何度も協議を繰り返し、その願いが通ったのが平成24年になります。コンセンサスに至ったのは、先人たちの苦労があってこそだと思います。

平成25年4月に「クリーンプラザふじみ」は完成し、焼却処理が稼動。数年後ブランチ調布が開業した

――ブランチ調布の開設までに約20年の想いが詰まっているわけですね。今後、ブランチ調布はどんな場所になってほしいですか?

増田:地域のこれからの付加価値を考え、両市にとって防災拠点、新たな交流場所として、大事な場所になってほしいですね。くわえて「ふじみ地区自治会等連合会」としても住民の声を生かして共に運営していきたいと思います。

佐々木:個人的には買い物や通院、食事で利用していますが、当会としても地元のイベント「ふじみまつり」の太鼓の演奏会場にしたり、交通安全運動のテントを建てたり……さまざまな用途で使っています。今後もより一層、地域住民の方々には気軽に訪れてもらえる交流拠点として活躍してほしいですね。

▼ブランチ調布
東京都調布市深大寺東町7-47-1
https://www.branch-sc.com/chofu/

街中に点在する地域の交流拠点へ

地域の交流拠点を目指している「ブランチ調布」は、地域の様々な方に、関わっていただきたいと考えています。そのためにも、まずは自分たちがこの地域の魅力を知らなくてはならないということで、その中核となるお二人と一緒に、奥深大寺エリアの魅力スポットを巡ってみました!

オーダーブレンド400円、マスターのレアチーズケーキ450円

最初に訪れたのは、三鷹市新川に位置する「刈谷珈琲店」。オーダー後にペーパードリップで丁寧に淹れられたコーヒーと、マスターがつくるレチーズケーキの相性は抜群。また、浅煎りと深煎りの比率をお好みでオーダーできる「オーダーブレンド」も人気の理由です。

「刈谷珈琲店」店長の刈谷さん

店長である刈谷さんは美大出身。そのため、お店でアート教室を開催するほか、隣接する小学校での読み聞かせのボランティアや大学生と一緒に新川の巡回マップも作成してきました。

精力的に地域を盛り上げる刈谷さん、コーヒーはもちろんのこと、刈谷さんとのお話を目的に訪れるお客さんも少なくないそうです。

浅煎りのコーヒーにご満悦のお二人

佐々木:始めて訪れましたが、とても美味しいコーヒーですね。近隣住民の方が多いですか?

刈谷:そうですね。開店から10年経ちますが、叔母が始めたお店なので、昔から来てくださるお客様もいます。近年は子連れのお客様も多いですよ。子育て中の親御さんにはゆっくりとコーヒーを楽しんでもらいたいです。

佐々木:子どもが楽しめる絵本やおもちゃも置いてあって、老若男女に愛されているお店なんだと感じますね。

▼刈谷珈琲店
東京都三鷹市新川3-16-27
https://www.instagram.com/kariyacoffee/

野菜農家の根岸隆好さん

続いて訪れたのは、農家の庭先直売所「ファーマーズショップ根岸」。畑で採れた新鮮野菜を安価で販売しており、地域住民御用達のお店です。

「農業を続けていくには、地域との共生が大切です。地域の方々に“自分の住むエリアに畑があることが大事”ということを理解してもらえるように活動しています」と話す、根岸さん。

過去には、三鷹市、武蔵野市を中心に都市農家さんを応援する「まちなか農家プロジェクト」や、農地の防災機能で地域を守る「まちなか農家×防災」などのイベントを開催してきました。

新鮮な野菜に感動するお二人

根岸:うちで採れた野菜は7割以上、この庭先直売所で販売しています。コロナの影響もあり、直売所に来られる方や、若いお客さんも増えましたね。

増田:そうなんですね。本当にどれも安くて、大きい……。

根岸:野菜は言わずもがな、主に私の母が対面で野菜を販売している“庭先直売所でコミュニケーションが取れる”というところはうちの売りだと思います。コロナ以降一度無人販売となりましたが、現在は半分対面のようなかたちに戻しています。野菜の特徴や調理方法などを話しながら農家から直接買えることも、喜ばれリピートくださっている要因かなと感じます。

▼ファーマーズショップ根岸
東京都三鷹市新川6-3-7

最後に訪れたのは、もともとは空き家だったお店を交流拠点へと変化させた、レンタルスペース「いづみや」。間借りでの店舗運営、料理のワークショップ、さらには結婚式など、さまざまな形で活用されています。

「ひなあそび」代表の三田さん

取材当日に出店されていたのは、出張着付けや着付けレッスン、レンタル着物など、和装を身近に感じてもらえるサービスを運営している「ひなあそび」。奥ゆかしい深大寺のロケーションに、着物がマッチするとのことで、2週間に一度、いづみやで出店されています。

▼シェアきもの ひなあそび
https://www.hinaasobi.jp

また、別日にはコーヒー屋さんをはじめ、壺の焼き芋屋さん、バリ料理屋さん、薬膳カレー屋さん、チャイ屋さん、グルテンフリーカフェで予約が埋まっているそうです。

じつは「いづみや」を管理するのは奥深編集部の薩川さんです

薩川さん:基本的に利用される方は、地域住民が多いです。何かチャレンジしてみたい、この場を活用してみたい、という方々は是非!

増田:もともとは空き家だった場所が、時代に合わせた交流拠点になっているのは素敵ですね。しかも、地域の方々によって、地域にとって意義のある場所になるのは素晴らしいと思います。 佐々木:そうですね。喫茶店、農業、空き家……地域の交流拠点として、さまざまなアプローチがあるのは学びになりました。我々も今日の知見をブランチ調布で生かしたいと思います。

散策中、地域のスクールゾーンについても警鐘を鳴らしていたお二人。地域を良くしていくアイディアだけでなく、問題を提起していける姿が、今回のツアーの中でも垣間見えました。そんなお二人を含め、地域住民の願いを体現した「ブランチ調布」。これからもどんな活用をされていくのか楽しみです。

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奥深編集部

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